パリ同時多発テロ事件

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気になっている方もいらっしゃると思うので、1月のテロ事件に続き、今回の同時多発テロについても何が起こっているのかをご報告したいと思います。




事件の詳細については各種報道をご覧いただければと思いますが、この度の事件ではHECでも一人犠牲者が出ました。彼はパートタイムのMBA生ですが、同じ授業で顔を合わせたり、クラブ活動で一緒になることもあり、我々フルタイムMBA生とも交流がありました。聞くところによれば彼は数か月間前に結婚したばかりで、BBQの際にはイスラム教徒のために進んでハラルの肉を調達してくるような学生だったということです。

そのような何の罪もない市民が殺されたことは非常に残念に思います。

テロが起こったのは金曜日の夜。HECの学生は、寮や家で過ごしていた人、旅行に出かけていた人、ケースコンペティションで他国にいた人、パリ市内で飲んでいた人、映画館にいた人、サッカースタジアムで独仏戦を見ていた人、それぞれ思い思いの過ごし方をしていました。日本人の中にはサッカーを観に行っていた人も多く、入り口の警備員がテロリストを不審に思わなければ、彼らの命も危険にさらされていたかもしれません。

前回と違い、今回は複数の場所で無差別にテロが起きたという意味でショックが大きく、中東・南アジア出身でテロを身近に経験したことのある学生達も、まさかパリでこんなことが起こるとはという衝撃を受けたようです。パリの人口は225万人。テロの被害に会う可能性は低いと言えば低いですが、言いしれない恐ろしさを皆感じています。

月曜日からは、町は普段の様子に戻ったように見えます。学校も、パーティ等を除けば概ね予定通り行われています。変わったのは、セキュリティチェック。1月のテロ直後から強化はされていましたが、銃を携帯した警察官がキャンパスの入り口に立ち、キャンパスに入るためにはIDチェックを受けなければなりません。HECキャンパスはパリ郊外にあり、HECを狙おうとさえ思われなければテロの標的とする理由がないような場所なため、キャンパス周辺では特に身の危険を感じることなく過ごすことができています。パリでも、街角の至る所に自動小銃を携帯した兵士が警備にあたっています。

今回のテロを受けて、フランス軍はISISに報復ともいえる空爆を行いました。このまま暴力の応酬がエスカレートする可能性もあります。

今や世界中のどこでも、少なくとも欧米のどこでテロが起きてもおかしくない状態です。テロが心配だからMBA留学を諦めるという選択肢もあるかもしれません。ただそれでも僕はMBAを取ることを勧めたいです。

日本にいる人が、大震災を経験し、それについて考え、対策を行っているように、欧米の人達はテロというものを経験し、それについて考え、対策を行っています。今やテロが起こることは当たり前とも言える世の中です。その世界中の人が当たり前に考えていることを考えずに過ごしていいのでしょうか。もちろん、日本にいても想像力を働かせることはできますが、日本における議論はまだ始まったばかりで、どこか他人事のような意見も多く見られます。

昨日は、レバノン人、パキスタン人、インド人と1時間以上ISISについて話しました。彼らの経験、彼らの考え方は、日本にいてはとても聞けないような貴重なものでした。命を賭して、とは言いませんし、実際にそこまで高い確率でテロに遭遇するとは思いません。パリはスリは多いですが、暴力という意味ではアメリカの多くの街よりも安全でしょう。MBAを目指す学生なら、日本という島に閉じこもり、テロを無視し続けるのではなく、真剣にテロと向き合い、考えを深めるべきではないでしょうか。








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